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日本語日本文学科の学生らが毎年恒例の文学散歩で印刷博物館などを見学

日本語日本文学科では、毎年秋の休日に文学散歩を開催しています。教員、副手、学生が参加し、文学作品や作家にゆかりのある地、日本文化を学べる施設などを巡ります。これまで、早稲田、上野、乃木坂、浅草、横浜などを訪れました。この文学散歩の企画や進行などは、有志の学生による日文委員が中心となって行っています。日文委員とはクラス委員のような係で、春の新入生歓迎会なども企画し、学科を楽しく盛り上げてくれる存在です。

さて、2025年度の文学散歩は11月1日に開催され、学生29名と教員?副手7名の計36名が、四ツ谷周辺を散策しました。今回巡った場所は、市ヶ谷の杜 本と活字館、印刷博物館です。

はじめに訪れた市ヶ谷の杜 本と活字館は、活版印刷を中心とした印刷所であると同時に、モノづくり工房として印刷の美しさや奥深さ?楽しさを体感できる、本づくりの文化施設です。到着するとまず、建物の美しい外観と時計台が目に入ります。前身は1926年に完成した市谷工場(大日本印刷の前身の一社である秀英舎が設けた工場)で、修復?復元プロジェクトにより1926年(大正15年)竣工当時の姿に復元されたそうです。教員からは活字についてのお話のほか、宮沢賢治の代表作『銀河鉄道の夜』に、活版所や活字の描写があることなどを伺いました。(「二、活版所」より抜粋:「ジョバンニは何べんも眼を拭いながら活字をだんだんひろいました。」ほか)

市ヶ谷の杜 本と活字館では、企画展「あつまれキラキラ★百箔繚乱」が開催されています。「箔」と呼ばれるキラキラした素材が100種類以上紹介されていて、その多彩さを堪能できました。また、卓上活版印刷機という機械を使い、しおりにロゴを印刷できる体験会が開催されており、多くの学生が印刷体験を楽しみました。

次に訪れた印刷博物館は、印刷をテーマとしたさまざまな展示を行っており、印刷の日本史/世界史、印刷技術などについて学ぶことができます。教員からはまず、蔦屋重三郎や狂歌などその時代の文学についてお話がありました。本学の図書館には、歌麿が挿絵を描いた狂歌絵本の現物が所蔵されているとのことで、学生たちはおどろいた様子でした。また、印刷と近代文学の関わりについても伺いました。時代とともに印刷技術が向上して大量生産?大量販売が可能になり、文学作品が儲かる商品になったこと、生きる時代が遅ければ、樋口一葉も職業作家としてもっと収入が得られたはず、といったお話を通し、見学前に様々にイメージを膨らませて入館しました。

印刷博物館では、常設展「京極夏彦と江戸期の版本 館長就任記念展示 第Ⅱ期」?「五館連携 蔦重手引草 あれもこれも蔦重!お江戸の名プロデューサー蔦屋重三郎」が開催中です。このうち後者の企画では、現在NHKで放送中の大河ドラマ「べらぼう?蔦重栄華乃夢噺?」に登場した作品が数多く展示されており、テレビで目にした作品を間近で楽しむことのできる貴重な機会となりました。企画展示では「現代日本のパッケージ2025」と題し、日本で開催されている3つのパッケージコンクールの受賞作品が集められ、食品や家庭用品の包装に加え、普段目にすることの少ない輸送用包装などに触れることができます。

いずれの施設も展示内容はもちろん、パンフレット等の資料が充実しているほか、連日ワークショップなどのイベントが開催されているそうで、再訪したいと思った学生も多かったのではないでしょうか。

最後に徒歩で飯田橋駅方面に向かい、お食事会で今回の文学散歩は幕を閉じます。お食事会は皆が楽しみにしているひとときで、この会を通じて教員と学生の親睦をより深めることができました。

文学散歩では、教員とともに歩きながら他愛もない会話だけでなく、教員が携わる英皇娱乐分野についての詳しい解説を聞いたり、卒論のゼミやテーマについても相談することができ、学生にとっても有意義な時間となったのではないでしょうか。教員と学生の双方が、大学で見るのとはまた違った互いの一面を知ることができたと思っております。次回の文学散歩も、今から待ち遠しいです。

(日本語日本文学科英皇娱乐室)

教員による活字等についての解説
市ヶ谷の杜 本と活字館 見学の様子
印刷博物館 見学の様子